高所恐怖症なので登山とまで言い切れないトレッキング
なぜか広々とした北海道に憧れて、根室の牧場にアルバイトに行ったのはいいものの、あまりに苛酷な肉体労働に「今の大学生はダメんだな」と散々な目に遭って、傷心したまま帰りに昇った大雪山。軽い気持ちで層雲峡から登り旭岳温泉に縦走しようとして、人気の無くなった旭岳山頂でガスに覆われて間違った方向に降りようと遭難しそうになりました。
それでも大雪山のお鉢平の絶景に感動し、その景色を求めて鳥海山、東北の山々、南北アルプスと南下し、北海道のような雄大な景色どころか、どんどん山は険しく切り立ったものとなりました。しかし、そのやたらめったら登る経験が体を鍛え、やがて海外に視線が向きました。最初に挑戦したキリマンジャロ、さすがにスケールが違う。毎日ダラダラ緩やかに登っているようでも1000メートルも標高を積み重ね、平原から登るアフリカの太陽に全身を洗われ、6000メートル近い頂上での氷河に圧倒されました。
しかし、こんなにしんどい山行がやみつきなる。夜半まで仕事に追われた金曜深夜の夜行でアルプスに向かい、土曜早朝から登り始めて日曜夜に家に戻り、休む間もなく月曜早朝からの仕事に向かう。よくそんな無茶なことしたのか、それでも仕事は成果が出て好循環。太古の修行僧になったような気持ちでした。
定年になったら、気に入った山をゆっくり登り直してみたい、そう思っていたのですが、長年のアルコール消毒された体には贅肉が付きまとい、もう無理、限界。それでも最後にここだけは行っていたい。そう、須弥山です。